愛に関する短い

ドアを開けると、空気が軽かった。部屋を歩くと床のきしむ音が聞こえた。

 

形は見えなかったけど、かつて確かにそこにあった何か。それにすがって生きてく選択肢はあったし、もう今はそこにないことに気付かない振りも出来た。

 

でも、親から継いだこの馬鹿正直過ぎる真っ直ぐな意思は、どういう訳か、こんな時にいつもひょっこり顔を出しては私を突き動かす。

 

親を見ていても、兄弟を見ていてもわかる。これが自分に流れる血なんだって。馬鹿みたいに真っ直ぐ。曲がった事が許せない。そんな家系の中で直人な私。

 

別にいいじゃない。肩の力抜こうよ。常に、正しい事だけが答えじゃないよ。

 

誰かに、そう言われたとしても、自分が正しいと思った方向にしか進めないのは、もうずっと変わらないし、これが自分なんだろうと思ってる。これが流れてる血。

 

後悔はないんだけど、それは最終的な決断に対してであって、そこに至るまでの小さい小さい、ほんと小さな出来事に対する自身の向き合ってきた態度に対してはある。

 

ときに、止めどなく流れる涙。

 

凍えるような寒さの中、今できる事は部屋の片付けだろうか。

何かに突き動かされ、断捨離とやらを進める。

 

そうして部屋を片付け、ゴミ捨て場にいくと粗大込みが沢山。年末だなぁ、と思うと同時に見慣れたものが混じっているとノスタルジックな気分に襲われる。

 

思えば、この土地にはあんまり良い思い出がない。今年の後片付けと来年の準備が出来たらさよならしようか。